発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004155464
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39歳女.幼少時に先天性股関節脱臼の診断を受けていた.26歳時に両股関節痛が出現し,放置していたが最近痛みが増強したため受診,進行期変形性股関節症と診断した.骨盤骨切りを行う方針で3DCTを施行したところ子宮筋腫を認めたが,手術操作そのものには影響ないと考え左骨盤Chiari骨切り術を実施した.深部静脈血栓症(DVT)予防対策としてフットポンプを術直後より開始した.術後6日目,フットポンプ使用中に突然胸部痛と呼吸困難が出現し,肺動脈塞栓症(PE)と診断した.経皮的心肺補助,下大静脈フィルターの留置,開胸による血栓の除去,ウロキナーゼの全身投与などを行い良好な経過が得られた.本例では子宮筋腫の存在により術前から下肢静脈灌流がわるく血液が鬱滞する状態にあり,骨盤骨切りによる侵襲と術後の安静によってDVTが生じ,これが遊離塞栓子として肺動脈を閉塞しPEを起こしたものと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004