発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003252320
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高齢者大腿骨近位骨折後の経過中,自宅生活が困難となることに関する予後を社会的予後とし,生存分析の手法で検討した.また,自宅生活が継続できなかった理由を調査し,高齢者骨折治療の課題を考察した.対象は受傷前自宅生活であった239例とした.自宅生活継続期間は平均52ヵ月であった.社会的予後の生存曲線から判断すると,骨折後の在宅生活継続例は5年間で半分以下となっていた.生存曲線への影響因子は年齢,歩行能,内科合併症数,一人暮らし,痴呆で,ADLの低下が在宅生活を困難にしたと考えられた.歩行能再獲得あり,または痴呆なしでは,長期に自宅生活が維持されていた.入院あるいは施設入所の理由のほとんどは,内科合併症の治療で,入院治療群は1年以内に全員死亡していた.施設入所の理由は,主にADLの低下と介護者の不在であった
©Nankodo Co., Ltd., 2003