発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003226053
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大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIF)から急速破壊型股関節症(RDC)や萎縮型股関節症(萎縮型OA)に進行した例を集積し,その発症要因と進行の予防について考察した.対象は,SIFと診断され発症前か発症直後からの経時的なX線像があり,発症後2年以内に人工股関節全置換術(THA)が行われた26例30関節(男4例,女22例,平均年齢70歳)とした.手術時既に骨頭の破壊消失が著しくRDCであったものが11例13関節(RDC群),手術時は関節裂隙が狭小化或いは消失し萎縮型OAであったものが15例17関節であった.RDC群には,経時的なX線像で一時的に萎縮型OAの像を呈した例が9関節あった.8関節の発症早期の骨シンチグラムで骨頭への著しい集積を認めた.摘出骨頂の多くの例で軟骨が剥離していた.全例で程度の差はあるが臼蓋形成不全か腰椎後彎を認め,両方を合併している例もあった.60歳未満の5関節のうち3関節は,高度の臼蓋形成不全[center edge(CE)角0°]であった.また,9関節では発症前に日常よりハードな労作業をしていた.SIFは,大多数のDRCや急速に進行する萎縮型OAの先行する初期病変であると考えられた
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