発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011226900
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症例1は75歳女性で、72歳時に腰椎後彎症に伴う腰部脊柱管狭窄症により除圧術を施行された。誘因なく右股関節痛が出現し、症状が増悪し、痛みのため荷重ができず歩行困難となった。立位で腰椎の後彎を認め、腰椎単純X線で大腿骨頭では関節裂隙の狭小化を認めたが陥凹はなかった。臨床経過、画像所見より大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIF)と診断し、人工股関節全置換術(THA)を行った。術後は疼痛もなく6ヵ月時点で杖歩行が可能となった。症例2は65歳女性で、以前より長距離歩行時に右股関節重苦感があり、変形性股関節症を指摘された。荷重時に刺すような痛みが出現し、跛行が著明となり半年後に受診した。初診時骨密度はYAM61%、BMIは19.6kg/m2であった。単純X線で軽度の臼蓋形成不全、関節裂隙の狭小化及び臼蓋縁に一致した骨頭部分に陥凹を認め、MRIでも臼蓋縁に一致した骨頭部分に圧潰を認めていたが骨頭内の信号変化には乏しい像であった。病理組織所見は骨頭荷重部では髄腔の線維化、骨新生像、骨梁の増加を認めたが壊死を示唆する所見はなく、関節唇に変性はなかった。術後は疼痛もなく6ヵ月時点で杖なし歩行が可能であった。
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