発行日 2002年2月1日
Published Date 2002/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002125199
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51歳男.右肩痛を主訴とした.約21年前より腎不全に対する血液透析を受けており,転倒による右大腿骨頸部骨折と転倒による左大腿部頸部骨折の既往がある.約1年6ヵ月前に血液透析中に右肩の疼痛を訴えたがX線上では異常がなかった.そして,外傷等の誘因なく右肩の疼痛が特に強くなったために整形外科を受診し,右烏口突起中間彎曲に転位のない骨折が認められた.又,両側大腿骨頸部は殿筋内脱臼の状態であるが歩行は可能である.右肩に対して三角巾と横包帯により右上肢の固定を行い,保存的に治療した.1ヵ月後も骨片転位は認めず3ヵ月後には疼痛が消失し仮骨形成を認めたために関節可動域訓練を開始し,約6ヵ月後に骨癒合が得られた.本例は慢性腎不全とそれに対する慢性的人工透析による腎性骨異栄養症や透析骨関節症と総称される病的骨折の1例であるが,烏口突起骨折は比較的珍しい病的骨折であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002