発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002065689
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75歳男.1945年に手榴弾の爆発により左母指に外傷を負い,その後特に問題はなかったが,98年に同指を雨戸に挟んでから腫瘤が出現し,徐々に増大した.左母指全周性に弾性軟の多房性に隆起した腫瘤を認め,内部に米粒大で硬の腫瘤を数個触知した.単純X線で中手指節関節掌尺側に金属片と思われる陰影と,基節骨遠位に境界明瞭で骨硬化を伴わない透亮像を認めた.手術所見で,腫瘤は黄褐色多房性で被膜を有し,その一部は基節骨中央部へ進入していた.内部は黄色泥状物と肉芽組織が混在し,手榴弾の破片と思われる1×0.5mmの黒色の金属片を認めた.病理組織学的に腫瘤は分葉状で,泡沫細胞,貪食細胞,異物巨細胞の浸潤を認めた.術後1年経過し,疼痛,知覚障害はなく,X線所見にも異常は認めない
©Nankodo Co., Ltd., 2001