発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2001272393
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71歳女.歩行転倒後,両下肢筋力低下,体幹~両下肢痺れが出現し,受診した.約30年前にL4/L5椎間板ヘルニアを指摘され,モルヨドールによる脊髄造影を行い保存的治療にて軽快した.左大腿四頭筋,前脛骨筋,長母趾伸筋・屈筋,腓腹筋に筋力低下,両側下部胸椎レベル以下に知覚障害を認めた.単純X線像では脊柱管内に大小多数の粒状影を認め,MRIではT1強調像で高信号,T2強調像で低信号の境界明瞭な腫瘤を認めた.経過観察したが症状の改善が得られず,腫瘤摘出術を行った.手術所見では,くも膜下に透光性のある腫瘤が脊髄を圧迫しており,病理診断で硝子様変性したくも膜組織であることが確認された.術後経過良好で,術後1年で左下肢筋力,知覚障害の改善が得られた.本症例は脊髄造影に使用された油性造影剤がクモ膜下腔に遺残し,外傷を契機に脊髄症状を起こしたと思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2001