投稿論文 短報
乳房再建術中にトルサードドポアントを発症した1症例
大村 昭宗
1
,
植木 隆介
,
下出 典子
,
竹峰 和宏
,
廣瀬 宗孝
1兵庫医科大学病院 麻酔科疼痛制御科
キーワード:
Norepinephrine
,
QT延長症候群
,
術中合併症
,
心電図
,
低血圧
,
乳房形成術
,
乳房腫瘍
,
麻酔剤
,
Torsades de Pointes
,
筋皮弁
,
腹直筋
,
低マグネシウム血症
,
外科的侵襲
Keyword:
Anesthetics
,
Norepinephrine
,
Long QT Syndrome
,
Torsades de Pointes
,
Mammaplasty
,
Hypotension
,
Intraoperative Complications
,
Electrocardiography
,
Breast Neoplasms
,
Myocutaneous Flap
pp.868-873
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020373429
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症例は63歳女性で、40歳で右乳がんに対し右乳房切除術を施行された。今回、乳房再建の希望があり、腹直筋皮弁による乳房再建術が予定された。心電図上で上室性期外収縮を認めたが、QTcは一般的な正常範囲の0.44秒以内であった。皮弁の適合を確認するために座位と臥位を繰り返したのち(計5回)、仰臥位時に突然トルサードドポアント(Tdp)が発生し、約30秒間継続して洞調律に復帰した。血圧は観血的動脈圧で収縮期40~50mmHg台まで一時急激に低下した。Tdp発生時は心塞頻拍との見分けが難しく、ただちに上級医をコールしリドカイン50mgを経静脈投与した。また、低マグネシウム血症に対して、硫酸マグネシウム20mEqによる補正を行った。その後、手術終了まで心血管イベントなく経過し、麻酔覚醒は良好であったため手術室で抜管した。循環・呼吸状態、バイタルサインに異常はなく、術後は高度治療室(HCU)に入室した。HCU帰室直後のQTcは0.493秒であり、術後3日目のQTcは0.426秒と正常化していた。
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