臨床経験
慢性閉塞性肺疾患を合併した上腹部手術患者に対する周術期tiotropium投与の有用性
萩野 茂太
1
,
伏田 幸夫
,
桐山 正人
,
藤村 隆
,
太田 哲生
1黒部市立黒部市民病院 外科
キーワード:
酸素吸入療法
,
術後管理
,
術前管理
,
消化器外科
,
入院期間
,
吸入投与
,
パイロットプロジェクト
,
治療成績
,
努力呼気肺活量
,
周術期管理
,
Tiotropium Bromide
,
肺疾患-慢性閉塞性
,
フローボリューム曲線
Keyword:
Tiotropium Bromide
,
Administration, Inhalation
,
Forced Expiratory Volume
,
Length of Stay
,
Oxygen Inhalation Therapy
,
Preoperative Care
,
Pilot Projects
,
Postoperative Care
,
Digestive System Surgical Procedures
,
Treatment Outcome
,
Pulmonary Disease, Chronic Obstructive
,
Perioperative Care
pp.299-303
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016152972
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併した上腹部手術患者13例を対象に、周術期にtiotropium投与(術前最低1週間以上、術後2週間)を行い、その有用性を検討した。男性8例、女性5例で、年齢の中央値は74歳であった。喫煙歴は9例あった。その結果、FEV1.0%は9例(69%)で術後改善し、術前64.5%から術後72.8%に増加した。FEV1.0は4例で術後改善を認め、努力肺活量は3例で術後改善を認めた。いずれの症例も術後経過は良好で、全例手術直後に抜管可能であり、術後呼吸器合併症の併発もみられなかった。また、tiotropium吸入による副作用もみられなかった。以上の結果から、COPDを合併した上腹部手術患者に対するtiotropiumの周術期投与は、安全かつ術後の呼吸器機能の改善や呼吸器合併症の予防に有用である可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2016