消化器癌併存症-周術期の対処法
肺機能異常症を伴う消化器癌患者の周術期管理
久保 尚士
1
,
大平 雅一
,
田中 浩明
,
六車 一哉
,
平川 弘聖
1大阪市立大学 腫瘍外科
キーワード:
呼吸窮迫症候群-急性
,
術後合併症
,
術後管理
,
術前管理
,
術中管理
,
消化器腫瘍
,
全身麻酔
,
周術期管理
,
肺疾患-慢性閉塞性
Keyword:
Anesthesia, General
,
Digestive System Neoplasms
,
Intraoperative Care
,
Postoperative Care
,
Postoperative Complications
,
Preoperative Care
,
Respiratory Distress Syndrome, Adult
,
Perioperative Care
,
Pulmonary Disease, Chronic Obstructive
pp.1034-1038
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012337939
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は、タバコ煙が原因で肺に慢性の炎症が生じ、進行性の気流制限がもたらされる疾患であり、近年増加の一途をたどっている。COPD患者に開胸や開腹手術を行うと、術後に肺炎、無気肺、急性呼吸窮迫症候群(adult respiratory distress syndrome:ARDS)などの呼吸器合併症が生じることが多く、その対策が重要である。術前には確実に禁煙指導を行い、COPDを長期管理薬でコントロールしたうえで、呼吸器リハビリテーションや肺炎予防のためのデンタルケアを行う。術中、麻酔科医は無気肺形成の予防のために、喀痰吸引とリクルートメント手技を実践する。術後は硬膜外麻酔による疼痛緩和を行うことで早期離床をうながす。術後にARDSを発症したときには、縫合不全や肺炎などの原因疾患への対応を施行したうえで適切な呼吸循環管理を行う。近年、ARDSに対するsivelestat sodium hydrateや低用量ステロイドの有効性が示唆されている。
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