臨床と研究
腸管気腫症はいかにして発生するのか 組織所見に基づく分類と手術適応に関する考察
光吉 明
1
,
濱田 新七
,
橘 強
,
近藤 祐平
,
桃野 鉄平
,
青山 紘希
1大津市民病院 外科
キーワード:
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
胃切除
,
腸管嚢胞状気腫症
,
敗血症
,
術後感染症
,
剖検
,
ガス壊疽
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
非閉塞性腸間膜虚血
,
門脈ガス血症
,
腸間膜虚血
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Gastrectomy
,
Gastroscopy
,
Pneumatosis Cystoides Intestinalis
,
Stomach Neoplasms
,
Sepsis
,
Mesenteric Ischemia
,
Mesenteric Ischemia
pp.69-74
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016136592
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当科で経験した門脈ガス血症(PVG)を伴う非閉塞性腸管虚血症(NOMI)2例を対象に、腸管気腫症(IP)の発症機序を病理組織学的に検討した。その結果、症例1ではNOMIの発症とともに粘膜面に壊死が起こり、それにより破綻した粘膜表面から腸管内ガスが高い内圧によって壁内に移動し、IPへ変化したと考えられた。その一部は壁破綻した毛細血管や細動静脈から移入し、PVGとして肝臓へ流入したと考えられた。症例2では短時間のうちに粘膜のみならず腸壁全層が壊死に陥り、細菌感染を伴って敗血症に陥ったと診断した。ガス産生菌が直接壁内でガスを産生し、壊死により一部破綻した血管壁から移入したと考えられた。ガス産生菌のうちGram陰性桿菌はIPの周囲にコロニーを形成する傾向が強く、またGram陽性桿菌はIPからやや離れた部位でコロニーを形成する傾向がみられた。今回の結果をもとに、原因となる疾患の整理、治療方針や予後について若干の文献的考察を加え報告した。
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