肝内胆管癌の新しい規約と治療戦略
原発性肝癌取扱い規約第6版における肝内胆管癌の新しい進行度分類
阪本 良弘
1
,
有田 淳一
,
赤松 延久
,
金子 順一
,
長谷川 潔
,
國土 典宏
1東京大学 肝胆膵外科・人工臓器移植外科
キーワード:
肝内胆管
,
腫瘍侵入性
,
リンパ行性転移
,
生存率
,
胆管癌
,
胆管腫瘍
,
TNM分類
,
癌取扱い規約
Keyword:
Bile Duct Neoplasms
,
Bile Ducts, Intrahepatic
,
Neoplasm Staging
,
Lymphatic Metastasis
,
Neoplasm Invasiveness
,
Survival Rate
,
Cholangiocarcinoma
pp.122-126
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016125826
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2015年7月に発刊された原発性肝癌取扱い規約第6版において,肝内胆管癌の進行度分類に改訂が加えられた.すなわちT因子構成項目から漿膜浸潤と静脈浸潤が省かれ,主要胆管浸潤(b3,4)の有無が新たに加えられた.したがって,(1)腫瘍数(単発),(2)腫瘍径(≦2cm),(3)脈管侵襲(Vp0,Va0,B0~2)の3項目の充足数によってT1~T4に分類されることになった.また,第5版ではN1は一律にStageIVBであったが,第6版ではT1~T3N1M0は20%程度の術後5年生存率が期待できるためStageIVAに含められた.2009年に改訂された国際対癌連合(UICC)/米国癌合同委員会(AJCC)のTNM分類第7版ではperiductal invasionがT4と分類されたが,むしろT2bに分類された多発例の予後が不良であるため,少なくとも本邦で切除された肝内胆管癌患者の予後は正しく反映していない.本邦の新規約は腫瘤形成型(MF)+胆管周囲増殖型(PI)の肝内胆管癌の予後がMF型に比較して不良であることを反映したかたちとなったが,胆道癌取扱い規約における肝門部領域胆管癌との住み分けやUICC/AJCCのTNM分類との調整など,今後解決すべき問題が改めて提示されたと考えられる.
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