発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016017276
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74歳男。高血圧、糖尿病の既往があり、近医にて血糖コントロール不良のため施行された腹部超音波検査で膵頭部腫瘤を認め当科紹介となった。血液検査および各種画像検査所見からは胃癌併発の膵頭部intraductal papillary mucinous carcinoma(IPMN)が第一に考えられたが、典型的ではなく、鑑別診断として膵腺扁平上皮癌・膵粘液癌もあげられた。また、PETで集積が認められた膵尾部に関しては、MR胆管膵管造影で小さな欠損像を認めるものの、明らかな腫瘤影は他の画像検査でも認めなかった。治療・診断目的で手術を行い、術中超音波にて膵尾部に2cmの低エコー腫瘤を認めたため、膵尾部にも腫瘍性病変を併発していると考え膵全摘術を施行した。病理組織学的に膵頭部腫瘍は膵管内管状乳頭腫瘍由来浸潤癌、膵尾部腫瘍はpancreatobiliary typeのIPMN由来浸潤癌と診断した。術後は大きな合併症なく良好に経過し、退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015