発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015285004
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53歳男。上腹部痛、嘔気を主訴とした。血液検査では好中球優位の炎症所見を呈し、腹部単純X線では、鏡面像を伴う小腸ガス像が認められた。腹部造影CTでは回腸において、腸管壁が造影効果を保ちながら浮腫状に壁肥厚をきたし、一部狭窄部位が認められた。また、狭窄部位より口側の小腸の拡張とわずかな液体貯溜が認められた。緊急開腹手術を行ったところ、腫瘍性病変、腸管捻転や明らかな血流障害は認めず、回腸の機械性イレウスと診断し、回腸部分切除術を行った。病理組織学的所見では、小腸粘膜下層の好中球浸潤、うっ血とその中心に虫体が認められた。術後の病歴聴取でホタルイカの生食歴が判明したこと、血清アニサキス特異的IgEが有意に上昇していたことより、小腸アニサキス症による閉塞性イレウスと診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015