臨床経験
大腸癌肝転移切除の再開腹術において初回手術時の癒着防止材使用が腹腔内癒着に及ぼす影響に関する検討
池永 雅一
1
,
宮本 敦史
,
安井 昌義
,
宮崎 道彦
,
三嶋 秀行
,
辻仲 利政
1大阪労災病院 外科
キーワード:
開腹術
,
肝切除
,
肝臓腫瘍
,
再手術
,
術後合併症
,
大腸腫瘍
,
腹膜腔
,
癒着
,
後向き研究
,
Seprafilm
Keyword:
Tissue Adhesions
,
Hepatectomy
,
Liver Neoplasms
,
Laparotomy
,
Peritoneal Cavity
,
Postoperative Complications
,
Retrospective Studies
,
Reoperation
,
Colorectal Neoplasms
,
Seprafilm
pp.191-193
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167437
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2002~2009年の間の大腸癌肝転移において異時肝切除術施行の58例(初回大腸癌手術は開腹手術例)を対象に大腸癌手術後腹腔癒着防止吸収性バリア(セプラフィルム)使用群39例と非使用群19例における腹腔内癒着への影響を後方視的に比較した。分類は腹腔内癒着の程度を全く癒着なし(Grade I)、軽度~中等度癒着で癒着剥離は容易(Grade II)、高度癒着があり癒着剥離に時間を要した(Grede III)とし、また腫瘍占居部位が盲腸から横行結腸までで回盲部切除術と結腸右半切除術施行例を近位結腸切除例、横行結腸からS状結腸の切除施行例を結腸左半切除例、S状結腸切除術施行例を遠位結腸切除例とした。その結果、1)セプラフィルム使用例と非使用例の癒着の程度では、Grede I/II/IIIの症例数は使用群では8/27/4例、非使用群では2/11/6例であり、非使用例でGrade IIIが多い傾向がみられた。2)セプラフィルム非使用群ではいずれも広範囲の癒着があり、腹膜炎併発が1例ほか、S状結腸切除術+胆嚢摘出術施行で開腹範囲が大きくなった症例が1例、結腸右半切除術が1例であった。3)セプラフィルム使用群では胆嚢摘出後症例が1例、結腸右半切除術が2例、直腸切除術が1例であった。以上より、セプラフィルムの使用は術後腸閉塞のみならず異時肝切除術時の外科医のストレス軽減にも貢献する可能性が示唆された。
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