臨床と研究
非穿孔性虫垂炎に対する細径鉗子を使用した変更型単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の検討
渡邉 克隆
1
,
久世 真悟
,
京兼 隆典
1掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター 外科
キーワード:
開腹術
,
鉗子
,
手術創感染
,
虫垂炎
,
虫垂切除
,
入院期間
,
腹腔鏡法
,
腹壁ヘルニア
,
後向き研究
,
手術時間
,
単孔式内視鏡手術
Keyword:
Appendectomy
,
Appendicitis
,
Hernia, Ventral
,
Length of Stay
,
Laparotomy
,
Laparoscopy
,
Surgical Wound Infection
,
Retrospective Studies
,
Operative Time
pp.186-190
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167436
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著者らの施設では2010年12月から細径鉗子を使用した変更型単孔式腹腔鏡下虫垂切除術(mSILA)を導入している。今回、その有用性と安全性について、腹腔鏡下虫垂切除術(LA)および開腹虫垂切除術(OA)と対比させ後方視的に検討した。2005年1月~2013年4月の間に術中所見で非穿孔性虫垂炎が確認された192例(mSILA群:23例、LA群:63例、OA群:106例)を対象にした結果、1)3群間に年齢、性別、BMI、白血球数ほか、虫垂の肉眼的炎症程度、術者には有意差は認められなかった。だが、開腹に移行した症例はmSILA群が0例、LA群が3例であった。2)手術時間はmSILA群が38±5分、LA群が68±18分、OA群が37±9分で、mSILA群はLA群より有意に手術時間が短かったが、OA群に対しては有意差を認められなかった。3)術後の鎮痛剤使用回数、術後入院期間、術後合併症はいずれも有意差はみられなかった。以上より、mSILAは恥骨上に細径鉗子を用いることで左下腹部にポートを挿入しないためLAより整容性に優れた術式であり、更に手術難易度も上げることがないことから導入しやすい安全な術式と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2015