発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014042102
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症例は80歳女性で、内痔核の既往があった。座れないほどの強い肛門痛と肛門腫瘤で近医より紹介受診した。直腸診で肛門管5時方向に径3cm大で易出血性の2型腫瘍を認め、直視下生検で重層扁平上皮に連続し、上皮下に柵状配列をなす腫瘍胞巣の浸潤性増殖を認めた。免疫染色でAE1/AE3、p63陽性から肛門管の類基底細胞癌と診断した。検査で貧血を認めたが、腫瘍マーカーは正常範囲内であった。造影CTで直腸背側に約4cmの不均一な造影効果を示す腫瘤状の壁肥厚、腟との間に不整な軟部濃度、下腸間膜動脈領域に腫大したリンパ節を認めた。骨盤と両側鼠径部に計45Gyの術前放射線照射を行い、内視鏡・造影CTで腫瘍の縮小を認め、2ヵ月後に腹会陰式直腸切断術を行った。摘出標本では肛門管部に1/2周性の不規則な潰瘍形成病変を認め、病理診断は類基底細胞癌、放射線治療の効果判定はGrade 2であった。術後3ヵ月目に退院し、10ヵ月経過で再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013