発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013186096
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73歳男性。前立腺癌の術前造影CTで腎動脈下腹部大動脈に嚢状瘤を指摘され、紹介受診となった。所見では右下肢の膝窩動脈以下の拍動が微弱で、足首-上腕血圧比は右0.88、左1.24であった。また、造影CTでは腎動脈下腹部大動脈の壁一部が外側に約31×26mm拡張した嚢状瘤がみられた。更に右内腸骨動脈から右膝窩動脈に連続する最大約20mmに拡張した石灰化を伴う遺残坐骨動脈が認められ、臀部から膝上部まで閉塞し、右浅大腿動脈は低形成で、右膝窩動脈に向かって細い側副血流を供給するのみであった。一方、冠状動脈造影では左前下行枝#6に99%、右冠状動脈#1に75%、#2に75%の狭窄が認められた。以上、これらの所見を踏まえて、手術は冠状動脈バイパスを優先させ、腹部大動脈瘤は前立腺癌とともに二期的に治療する方針とした。その結果、術後は良好で、3年経過現在も症状は認められていない。尚、遺残坐骨動脈は下肢虚血症状がないことから経過観察とした。
©Nankodo Co., Ltd., 2013