外科医必読 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のすべて
IPMNに対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検法の現況
糸井 隆夫
1
,
池内 信人
,
祖父尼 淳
,
糸川 文英
,
栗原 俊夫
,
土屋 貴愛
,
辻 修二郎
,
石井 健太郎
,
梅田 純子
,
田中 麗奈
,
本定 三季
,
森安 史典
1東京医科大学 消化器内科
キーワード:
腫瘍マーカー
,
癌遺伝子
,
インターベンショナル超音波診断
,
嚢胞液
,
超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法
,
膵管内乳頭腫瘍
Keyword:
Oncogenes
,
Biomarkers, Tumor
,
Ultrasonography, Interventional
,
Cyst Fluid
,
Endoscopic Ultrasound-Guided Fine Needle Aspiration
pp.147-154
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013077685
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)診療における超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)の現況について解説した.現在IPMNの分枝型に対して,欧米を中心に盛んにEUS-FNAが行われている.大きな目的は嚢胞内溶液の細胞診,アミラーゼ・リパーゼなどの膵酵素,CEA・CA19-9などの腫瘍マーカーの検索である.これらにより,今のところ粘液性嚢胞と非粘液性嚢胞との鑑別,腫瘍性嚢胞では漿液性嚢胞腫瘍(SCN)とIPMN/粘液嚢胞腫瘍(MCN)との鑑別は可能であると考えられる.しかし良悪性の鑑別やIPMNとMCNとの鑑別は容易ではなく,嚢胞内溶液よりもEUSによる形態所見のほうが診断に有用であるとする報告もある.分子生物学的解析は発展途上であるものの,IPMNとMCNを鑑別可能なGNAS遺伝子もみつかっており今後の検討が期待される.EUS-FNAを用いて嚢胞内にアルコールやpaclitaxelを注入する治療も試みられているが,EUS-FNA関連手技の中でも嚢胞穿刺はもっとも偶発症の多い手技であり,選択された必要な症例にのみ行うのが望ましい.
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