発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011177979
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
著者らは急性虫垂炎の発症および重症度と気象因子の関連性を検討した。対象は過去3年間に青森労災病院で外科手術を施行し、病理組織学的に蜂窩織炎性虫垂炎(A群・32例)、壊疽性・穿孔性虫垂炎(B群・39例)と診断された71症例を対象とした。その結果、1)A群に比べて、B群の受診日の日照時間は有意に高値で、湿度は低値であった。2)青森においては3~5月の春期に日照時間が長く、湿度が低い傾向にあるが、統計的有意差はなかった。だが、春期に壊疽性・穿孔性が75%と高い割合を占めたことから、日照時間と湿度が重症化に関与する可能性が考えられた。3)B群の受診日の白血球数と発症推定日・受診日の気温との間に中程度の正の相関を認められたが、A群では相関はなかった。両群間に白血球数に有意差は認めなかったことから、虫垂の炎症が壊疽性にまで達すると、白血球数が交差神経を介して気温の影響を受ける可能性が示唆された。尚、CRP値はA群で受診日の気温、B群で受診日の日照時間に相関が認められた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011