鏡視下手術 術中トラブル対処
膵尾側切除術
三澤 健之
1
,
矢永 勝彦
1東京慈恵会医科大学 外科
キーワード:
結紮
,
膵切除
,
消化器系内視鏡法
,
脾動脈
,
外科的ステープリング
,
失血-外科
,
用手補助腹腔鏡下手術
Keyword:
Ligation
,
Pancreatectomy
,
Splenic Artery
,
Endoscopy, Digestive System
,
Blood Loss, Surgical
,
Surgical Stapling
,
Hand-Assisted Laparoscopy
pp.56-61
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011078912
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鏡視下膵切除、特に尾側膵切除において術中遭遇するトラブルあるいは難局として、術野の展開がわるい、予期せぬ出血、膵実質のステイプリング困難などがあげられる。術野の展開は患者の体位変換やリトラクターによって対処する。出血に対しては圧迫、アルゴンビームコアギュレータ(ABC)、クリッピング、縫合結紮などで適宜対応するが、ベッセル・シーラーを用いた丁寧な脈管処理を行うことにより、出血を未然に防ぐ手術が要求される。膵実質のステイプリングはもっとも重要なポイントで、出血や術後膵液瘻を予防するためには時間をかけたステイプラーの閉鎖がコツである。またトラブルの対処に窮した場合は、躊躇なくすみやかに用手補助鏡視下手術(hand-assisted laparoscopic surgery:HALS)あるいは開腹手術に変更することが肝要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011