術中出血の防止と止血の要点
尾側膵切除術
木村 理
1
1山形大学 器官機能統御学講座消化器・一般外科学(第一外科)
キーワード:
医学用イラストレーション
,
結紮
,
外科的止血
,
膵切除
,
脾静脈
,
下腸間膜動脈
,
失血-外科
Keyword:
Hemostasis, Surgical
,
Ligation
,
Medical Illustration
,
Pancreatectomy
,
Splenic Vein
,
Blood Loss, Surgical
,
Mesenteric Artery, Inferior
pp.1732-1738
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008117109
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
膵尾側切除術における術中出血の防止と止血の要点について概説した。脾臓および膵体尾部の後腹膜からの脱転のときにはToldtの癒合筋膜を膵実質につけて脱転することが重要である。膵実質の切離のときには膵の上縁でみられる上横行膵動脈(superior TP)と膵の下縁の横行膵動脈(TP)を明確に認識しておかなくてはならない。これらの動脈をあらかじめ結紮しておく目的で、切離時には膵の上縁および下縁の膵実質を予定切線から約5~10mm十二指腸寄りのところで結紮しておく。膵の断端における動脈分枝からの出血に対してはZ縫合を2針ずつかけて止血する。脾静脈に下腸間膜静脈が流入する頻度は約34%である。脾静脈から膵実質への分枝は細かな枝が頭側および尾側方向に多数存在するので、脾温存尾側膵切除術のときには膵切離部から膵尾部末端にいたるまで丁寧な結紮・切離が必要となる。
©Nankodo Co., Ltd., 2007