左心低形成症候群に対する治療戦略
段階的Norwood手術による左心低形成症候群の治療成績の向上
武田 裕子
1
,
麻生 俊英
1神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科
キーワード:
左心低形成症候群
,
治療成績
,
比例ハザードモデル
,
Fontan手術
,
Kaplan-Meier法
,
Norwood手術
,
Glenn手術
,
肺動脈絞扼術
Keyword:
Proportional Hazards Models
,
Treatment Outcome
,
Hypoplastic Left Heart Syndrome
,
Fontan Procedure
,
Kaplan-Meier Estimate
,
Norwood Procedures
pp.294-298
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014177008
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2003年9月~2013年10月にNorwood手術を施行した54例(手術施行日齢平均58±37日)を対象に一期的Norwood術を行った17例をN群、両側肺動脈絞扼術(BPAB)後にNorwood手術を行った37例をB群として比較検討した。その結果、1)診断は左心低形成症候群(HLHS)が42例、HLHS類似疾患が12例で、2011年以降は全て胎児診断され、両群間の胎児診断率に有意差はみられなかった。2)ハイリスクのみに行っていたBPABを2007年以降は全ての症例に行われており、以前の日齢17.3±8.8日が日齢3.3±2.5日と早い時期で施行となっていた。尚、B群37例中19例(51%)にBPAB後、単独Norwood手術が、18例にNorwoodとBCPSが行われていた。3)肺血流路の再建はN群でBTシャントが2例、右室肺動脈シャント(RV-PA conduit)が15例、一方、B群はBTシャントが12例、RV-PA conduitが7例、Norwood+BCPSが18例で行われていた。4)Norwood手術死亡率はN群が29.4%、B群が8.1%とB群が有意に良好であった。また、TCPC前のカテーテル検査ではPA indexのみがB群で有意に小さく、その他に有意差は認められなかった。5)術後の在院日数はN群が8~150日(中央値20日)、B群が7~74日(中央値13日)であった。更にNorwood術後3年の生存率はN群が58.8±1.2%、B群が68.7±0.2%と有意差はないものの若干良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014