発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011034211
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73歳男性。患者は1年前から貧血が認められた。FDG-PETでは骨盤内に集積がみられ、上・下部消化管内視鏡では下部に多発憩室を認めるのみで明らかな出血原因は指摘できなかった。経過観察としていたが、その後、貧血症状が増悪したため、著者らの施設へ精査加療目的で入院となった。検査所見ではHb6.1g/dlと高度の貧血と腫瘍マーカーCEAおよびCA19-9の著明な高値が認められた。また、腹部CTでは骨盤内に最大径9cm大の腫瘤がみられ、更に腫瘤の辺縁は不均一に造影されていた。以上より、本症例は癌種もしくはGISTが疑われ、手術の施行となったが、術中所見では腫瘍は回腸末端から70cm口側に存在しており、管外発育性の病変で、後面のS状結腸を巻き込んでいた。そのため、S状結腸と回腸を切除し、再建が行われた結果、切除標本の病理組織学的所見からの最終病理診断はmucinous adenocarcinoma、1型、SI(S状結腸)、ly0、v1、N0、H0、P0、M0、Stage IIであった。尚、患者は術後第16病日目に退院となり、目下、約4年経過で再発は認められていない。
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