門脈と脾臓のup date
脾臓 脾摘は肝機能を改善するか
佐藤 好信
1
1新潟大学 消化器・一般外科
キーワード:
肝切除
,
肝臓移植
,
肝臓疾患
,
脾臓摘出術
,
T細胞
,
治療成績
,
リビングドナー
,
Heme Oxygenase-1
Keyword:
Hepatectomy
,
Liver Diseases
,
Splenectomy
,
T-Lymphocytes
,
Liver Transplantation
,
Treatment Outcome
,
Living Donors
,
Heme Oxygenase-1
pp.68-79
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010069048
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脾摘は肝機能を改善するか。これを理解するために、本稿では肝切除や成人生体肝移植後肝障害のメカニズムについて述べ、またそれぞれの肝障害における脾摘の肝機能改善効果の基礎データを含めて報告した。肝切除後の肝障害は、門脈圧亢進によってもたらされる。過剰なshear stressからくる肝障害と、常にエンドトキシンや経口抗原にさらされている肝の環境下と肝の特異的免疫機構における過剰免疫による肝障害の二つのメカニズムがあり、相互の影響が複雑に関係している。脾摘は、過剰なshear stressや過剰な免疫を緩和する働きがあり、臨床的にも総じて肝機能を改善する働きがある。しかし感染や脾静脈血栓などの脾摘により合併症の問題もあり、脾摘の決断は慎重に行う必要がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2010