発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009138555
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
33歳女。右側腹部痛を主訴とした。右側腹部に軽度圧痛を伴う腫瘤を触知し、腹部単純X線で腸管を内側に圧排するような腫瘤影を認めた。腹部エコーで腫瘤内部は均一な無エコーの嚢胞性病変として認められ、嚢胞壁内部には数ヶ所に乳頭状隆起が存在した。MRIでは右側腹部にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示し、壁在結節もみられる嚢胞性腫瘤を認めた。右卵巣との連続性はなく、後腹膜由来が考えられた。後腹膜原発嚢胞腺腫あるいは嚢胞腺癌と診断し、腫瘤摘出術を施行した。摘出標本の病理組織学的所見は、乳頭状に増殖した組織の周囲にmucinが付着していた。異型の強い円柱上皮が乳頭状、絨毛状構造をとって増生する腫瘍であった。Goblet cell型の粘膜産生上皮も混在しており、後腹膜由来の粘液性嚢胞腺癌と診断された。術後経過は良好で、第10病日に退院となり、33ヵ月経過した現在も再発の兆候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009