急性腹症の診断と治療
肝・胆・膵 急性膵炎
木村 理
1
,
水谷 雅臣
1山形大学 第一外科(消化器・一般外科)
キーワード:
Albumins
,
経腸栄養
,
吸引術
,
血液透析濾過
,
膵炎-急性壊死性
,
予防的抗菌剤投与
,
胃ゾンデ
,
血液浄化法
,
動脈内投与
Keyword:
Albumins
,
Enteral Nutrition
,
Suction
,
Hemodiafiltration
,
Antibiotic Prophylaxis
,
Pancreatitis, Acute Necrotizing
pp.277-282
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009128817
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急性膵炎の診断と治療について概説した。急性膵炎は膵臓に発症した急性炎症性病変の総称である。数日の輸液と安静、絶食などで軽快する軽症例から多臓器不全を呈して致死的になることもある重症例までさまざまな病態を示す。成因としてアルコールや胆石によるものが多い。上腹部の激痛を生じ、悪心・嘔吐を伴う。腹部所見として軽度の圧痛から反跳痛までさまざまな腹部所見を伴う。血液検査では血清Amy値などの膵酵素やWBC・CRPが種々の程度に上昇する。画像診断で膵腫大、実質内分不均一、膵周辺への炎症の波及または液貯留などがさまざまな程度にみられ、重症では膵実質および膵周辺脂肪織の壊死を伴う。重症急性膵炎に対するわれわれの治療戦略を一言でいえば、「発症早期は徹底した積極的保存的治療を続け、晩期に感染性膵壊死が生じた場合に対してのみ壊死物質の除去(ネクロゼクトミー)と術後の腹腹膜持続洗浄を行う」ということである。
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