発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008366267
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21歳女性。患者は上腹部痛、嘔吐を主訴に上部消化管穿孔の疑いにて著者らの施設へ入院となった。所見では上腹部に著明な圧痛、腹膜刺激症状が認められたが、筋性防御は認めなかった。検査所見では炎症所見は認めず、低アルブミン血症、尿蛋白、白血球分画で軽度のリンパ球低下を認めた。また、腹部単純X線では消化管ガス消失像がみられ、造影CTでは腸間膜と腸管壁の肥厚を認めた。急性腹症を考え、絶食、補液にて経過観察を行ったが、多量の腹水を認め、抗生剤投与を行ったところ、腹部症状は消失した。だが、解熱はみられず、顔面に蝶形紅斑が出現、WBCの著明な減少をあわせて認め、大学病院へ転院の結果、全身性エリテマトーデスと診断された。尚、臨床経過より本症例では腸管漿膜炎を初発症状としたacute lupus peritonitisが考えられた。現在は症状は改善し、他院にて加療中である。
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