膵癌の外科治療は進歩したか
膵頭部癌 上腸間膜動脈(SMA)合併切除の適応と意義
北川 裕久
1
,
太田 哲生
,
谷 卓
,
高村 博之
,
萱原 正都
,
三輪 晃一
1金沢大学 消化器・乳腺外科
キーワード:
血管外科
,
膵臓腫瘍
,
膵頭十二指腸切除
,
生存率
,
入院期間
,
上腸間膜動脈
,
治療成績
,
手術時間
Keyword:
Length of Stay
,
Pancreatic Neoplasms
,
Vascular Surgical Procedures
,
Survival Rate
,
Treatment Outcome
,
Pancreaticoduodenectomy
,
Mesenteric Artery, Superior
,
Operative Time
pp.614-621
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008227103
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2002年から、上腸間膜動脈(SMA)周囲のリンパ系・神経系を、膵頭と一括切除する"augmented regional pancreatoduodenectomy(ARPD)"を16例に行ってきた。この手術は、resectabilityではなくcurabilityの向上を目指して開発された術式であり、膵頭下部前面からのリンパ経路である十二指腸水平脚下縁レベルまでの小腸間膜根部を切除する点と、膵頭をin situで遊離し、循環遮断下で摘出するno-touch isolationである点に特徴がある。術後30ヵ月以上生存例は4例、うち1例は5年以上生存している。ARPDの適応は、腫瘍占居部位が"腹側膵に限局"しており、仮にSMA周囲神経叢の剥離を行っても十分なsurgical marginがとれない"PL sma(+)症例"であるが、"PL smaがSMAの全周に及ぶ"、"リンパ節転移が大動脈周囲など3群にまで及ぶ"症例は適応外である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008