発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008146785
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症例1:55歳女。造影CTで膵の動脈瘤を疑い、加療目的入院となった。腹部造影CTにより膵臓に接して15×10mm大の膵動脈瘤を認め、腹腔動脈造影により脾動脈に一部嚢状で20mm大の動脈瘤と脾臓に短胃動脈から側副血行路を認めた。以上の所見から、嚢状病変を伴う脾動脈瘤と診断し、血管内治療を施行した。コイルによる塞栓術を行い、造影にて脾動脈瘤の血流遮断を確認した。術後1ヵ月の造影CTで動脈瘤は認めず、経過良好である。症例2:17歳男。発熱、吐気、腹痛で失神して救急搬送となった。顔面蒼白、腹部は膨満・軟であった。腹部CTより腹腔内出血を認め、Pre-shock状態を伴う腹腔内出血と診断し、緊急開腹を施行した。新鮮血が多量に排出され、骨盤内に多量凝血塊を認めたが、出血源は不明であった。脾門部に突出した球形の動脈瘤を認め、一部に凝血が付着していた。瘤部に癒着する胃脾間膜の剥離中に再出血を認めたため、脾動脈瘤破裂による出血と診断した。脾動脈を遮断するも出血が持続し、動脈瘤が脾門部に存在することから、脾臓摘出を施行した。病理所見では動脈瘤内腔に血栓が充満して瘤壁は菲薄化し、動脈瘤周辺部の動脈壁では内膜の線維性筋線維が増生し、内腔が隆起して中膜および外膜まで発育して、内膜や外膜を断裂していた。瘤壁周囲の結合織に著明な線維化を認め、内膜主体の線維筋形成異常(fibromuscular dysplasia)と診断した。術後経過は良好で、術後18日目に退院した。
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