投稿論文 短報
経肺熱希釈法(TPTD)を用いて周術期管理を行った低心機能患者の生体腎移植
堀 泰雄
1
,
大井 智香子
,
佐野 博昭
,
別府 曜子
1地域医療機能推進機構大阪病院 麻酔科
キーワード:
腎臓移植
,
心不全
,
中心静脈圧
,
熱希釈法
,
血管外肺水分
,
血管透過性
,
抗糸球体基底膜抗体症
,
周術期管理
,
心係数
Keyword:
Kidney Transplantation
,
Extravascular Lung Water
,
Heart Failure
,
Thermodilution
,
Central Venous Pressure
,
Capillary Permeability
,
Anti-Glomerular Basement Membrane Disease
,
Perioperative Care
pp.1185-1189
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021050826
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心機能が低下している生体腎移植患者では、許容できる輸液の範囲が狭く、過剰な輸液や急激な輸液負荷により容易に心不全や肺水腫に至る。TPTDは、中心静脈から投与された冷却水の温度変化を原理とするという点では肺動脈カテーテル(PAC)と同じであるが、PACは肺動脈で測定し右心系の情報のみを示すのに対し、TPTDでは大腿動脈で測定することにより右心系に左心系を加えた情報や肺に関する情報を示し、肺血管外水分量係数(ELWI)や肺血管透過性指数などの特徴的なパラメーターを測定することができる。ELWIは肺水腫の程度を定量的に表す優れた指標であり、これまで急性呼吸促迫症候群や敗血症などの重症患者においてその有用性が報告されている。今回、低心機能患者(29歳男性)の生体腎移植において、TPTDが利用可能なボリュームビューカテーテルを使用し、安定した周術期管理を行うことができたので報告した。
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