発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006321773
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食道癌・胃癌の微小転移と予後の関連について解析した臨床研究を選び,これを微小転移が「予後に影響する」と結論づけられる論文と「予後に影響しない」と結論づけられる論文に分けてデータを提示した.1)食道癌の臨床研究は患者数が少なく追跡期間が短いが,「骨髄やリンパ節に微小転移を認める患者は再発や死亡が多く,生存期間が短い」という複数の報告を認めた.2)食道癌のリンパ節には微小転移を高頻度に認め,「組織学的にリンパ節転移がない患者は,微小転移があっても生存率や生存期間には影響しない」という複数の報告があった.3)胃癌では「リンパ節や腹腔洗浄液に微小転移がある患者は,再発や死亡が多く生存期間が短い」という報告が圧倒的に多く,我が国の研究では陽性患者と陰性患者の5年生存率に差があった.4)予後に影響しないという論文は少なかったが,negative dataは投稿されない,negative dataは受理されにくいといった出版バイアスも考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2006