発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006231518
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56歳女.約4ヵ月前から持続する嚥下困難を契機に耳鼻咽喉科にて胸部上部食道の腫瘍を指摘された.栄養状態は良好で,腫瘍マーカーは陰性であり,血液検査にも異常は認めなかった.内視鏡による生検の結果では食道顆粒細胞腫との診断であった.CTでは周囲への浸潤像,リンパ節転移,肺転移を認めなかった.手術により術中迅速病理検査を行い悪性所見を認めなかったが,大きな腫瘍であるために核出術を断念し,食道部分切除を行った.切除標本は病理組織学的に悪性所見を認めず,術後の経過も良好であったが,約8ヵ月後に吻合部に瘢痕狭窄を認め,次第に狭窄が強まったことから2ヵ月後から数度のバルーン拡張術を施行した.更に4ヵ月後のCT検査にて気管浸潤を認めたことから,放射線療法を開始した経口摂取不良となり,気管切開術及び食道バイパス術を施行し,Tチューブにて気道を確保した.その後も腫瘍は増大を続け,約7ヵ月後に気管からの出血を繰り返して死亡した.本症では局所再発をもって悪性と確定診断され,診断に苦慮した症例であった
©Nankodo Co., Ltd., 2006