発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003163846
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肝腫瘍11例を対象にVCSクリップを用いた右肝静脈(RHV)再建を行い,その術後成績について検討した.疾患の内訳は原発性肝癌9例,胃癌肝転移1例,大腸癌肝転移1例で,術前画像にて腫瘍がRHVを圧排または浸潤が疑われた為,本術式の適応となった.術後に胃潰瘍出血,胆汁漏,肝性脳症を各1例認めたが,いずれも保存的に軽快して重篤な合併症はみられなかった.カラードプラ超音波検査によるグラフト開存率は100%で,9例では術後5~65ヵ月間の開存を確認したが1例は術後57ヵ月に残肝再発時に閉塞を認め,残る1例は術後4ヵ月に多発性肝転移で死亡,開存不明であった.以上よりVCSクリップを用いたグラフト再建は手技的に容易でかつ術後の開存性も良好であり,肝静脈再建に有用な方法と思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2003