発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323942
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67歳男。労作時呼吸困難を主訴に受診した。諸検査により、単冠状動脈、心室中隔欠損症を合併した大動脈弁輪拡張症および大動脈弁閉鎖不全症と診断した。手術方法の選択にあたり、当初は自己弁温存大動脈基部再建術も考慮したが、高度大動脈弁逆流による心不全をきたしていたため、大動脈弁逆流の制御の確実性を重視し、生体弁を用いて大動脈弁基部再建術(Bentall変法)を施行した。本術式に関する先行研究では、人工弁縫着の際に冠状動脈の圧迫による心筋虚血を起こした報告や、基部への縫合糸の運針時に冠状動脈を損傷したという報告もあるが、本例では右冠状動脈が肉眼的に確認可能で、大動脈弁輪から約5mm離れた位置に走行していたため、損傷を回避することができた。
©Nankodo Co., Ltd., 2016