臨床経験
ガラス片による肺貫通創
山田 昌弘
1
,
安孫子 正美
,
加藤 博久
,
遠藤 誠
1公立置賜総合病院 呼吸器外科
キーワード:
異物
,
ガラス
,
縫合法
,
穿通創
,
肺損傷
,
胸部CT
Keyword:
Foreign Bodies
,
Glass
,
Suture Techniques
,
Wounds, Penetrating
,
Lung Injury
pp.1009-1012
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017078314
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62歳男性。ビールパーティーで多量に飲酒後、つまづいて顔面から窓ガラスに突っ込み救急外来受診となった。来院時、意識は単純酩酊状態であり、鼻から口唇にかけての切創と右鎖骨下に数cmの切創がみられた。胸部X線像では長さ約14cm、幅1cmの異物が認められ、胸部CTを行なったところ、この異物は右第2肋間から胸腔内に入り、右上葉を貫通して下葉に達するもので、割れたガラス片と判断した。肺門部に到達していることから肺動静脈、横隔膜損傷の危険性も考え、来院8時間後に緊急開胸手術の施行となった。術中所見ではガラス片は右上葉を貫通し、葉間で先端が下葉に接した状態で存在していた。そこで、葉間から注意深くガラス片を引き抜いて摘出した。その際、上葉の出口創より出血がみられたが、プレジェット付きポリプロピレン糸で縫合止血した。上葉は肺内血腫が認められないことから切除は行わず、入口創も同様に縫合した。そして、胸腔内を洗浄し、出血や肺瘻のないことを確認後、胸腔ドレーン1本を挿入し手術を終了した。術後は経過良好で、患者は第12病日目に退院となった。
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