免疫性神経疾患 新たな治療戦略に向けて
神経筋接合部における自己免疫疾患 重症筋無力症の発症機序
本村 政勝
1
,
松尾 秀徳
1長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科第一内科・神経内科
キーワード:
IgG
,
胸腺腫
,
重症筋無力症
,
自己抗原
,
自己抗体
,
Cholinergic Receptors
,
神経筋接合部
,
分類
,
補体
,
MuSK Kinase
,
筋様細胞
,
病態生理
Keyword:
Autoantibodies
,
Autoantigens
,
Complement System Proteins
,
Classification
,
Immunoglobulin G
,
Neuromuscular Junction
,
Myasthenia Gravis
,
Receptors, Cholinergic
,
Thymoma
,
MUSK Protein, Human
pp.807-811
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010193469
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重症筋無力症(MG)は自己抗体の種類によって、(1)抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性MG、(2)抗筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性MG、そして、(3)前記の抗体が検出されないdouble seronegative MGに分類される。抗AChR抗体はそのほとんどがIgGサブクラス1に属し、補体介在性に運動終板を破壊する。その結果、AChR量が減少することによってMG症状を起こす。抗MuSK抗体のサブクラスはIgG4が主体で補体介在性運動終板破壊がない神経筋接合部病理像が示されたが、その病態機序や胸腺の関与は不明のままである。抗AChR抗体陽性MGの中で胸腺腫を伴うMGと胸腺過形成を伴う若年発症MGでは異なる発症機序が推測されているが、いずれの場合も胸腺内で自己抗原への感作が成立し、その後の免疫学的プロセスにAChR抗原の供給源として筋様細胞(myoid cell)が関わっていることが明らかになってきている。
©Nankodo Co., Ltd., 2010