発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030715
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55歳女。頻拍発作を主訴とした。55歳時から不整脈(発作性上室性頻拍)で内服加療中であった。胸部X線で心陰影の右第2弓に突出した腫瘤陰影を認め、CTでは前縦隔に胸腺と連続し右肺中葉や右房を著明に圧排する、造影効果を認めない最大径5cmの腫瘤を認めた。一部に壁肥厚と石灰化を認めた。胸腔鏡下手術を施行し、胸腺と連続して右房を圧排し右肺中葉と癒着する弾性硬の腫瘤を認め、これを摘出した。摘出病変の割面は嚢胞様で、褐色の粘稠な壊死物の貯留を認めた。肥厚した壁は線維化と石灰化を伴っていた。病理組織所見では嚢胞内面は線毛円柱上皮で覆われ、壁に平滑筋と気管支腺様の腺房組織を認めた。悪性所見は認めず、前縦隔に発生した気管支原生嚢胞と診断した。術後経過は良好で軽快退院し、術前に認めた発作性上室性頻拍は消失し、再発を認めず年1回の検診で経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2015