発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236400
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68歳男。意識レベル低下で救急搬送され、MRI所見などより塞栓性の脳梗塞と診断した。塞栓源の精査で心臓超音波により左房に腫瘍を認め、準緊急で腫瘍切除術を施行した。腫瘍は心房中隔の左房側に付着しており、両心房切開法により切除した。病理診断は粘液腫で、悪性所見は認めず、術後経過は良好であった。しかし半年後に頭痛を主訴に受診し、CTで前回脳梗塞部分に一致して高吸収域を認めた。転移性脳腫瘍と考え、原発巣の精査を行ったが不明であり、心臓手術後1年に腫瘍の一部を摘出した。病理組織所見で粘液腫細胞を認め、周りにヘモジデリンが沈着した肉芽組織で覆われていた。左房粘液腫の塞栓子が壊死消失せずに残存し、脳転移を来たしたものと診断した。CTで次第に腫瘍の増大を認めたため、全脳照射を計40.8Gy行った。腫瘍は縮小し、照射後1年経過して再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008