流入部中隔欠損を伴う肉柱部中隔全欠損症に対する2枚パッチ法による心室中隔造成術

症例は3歳3ヵ月女児で、1ヵ月時に肺動脈絞扼術の既往があった。生直後よりの心雑音、チアノーゼで紹介受診した。心エコーで正常心室-大血管関係、洞部中隔全欠損症、肺高血圧症と診断し、入院の上心室中隔造成術を行った。術中所見では、心室内でしっかりした前乳頭筋が心尖方向に伸び、posteromedian ridgeの右室側に付着していた。流入部中隔は三尖弁中隔尖中央付近から後尖側の一部が残存し、先端に内側乳頭筋から前尖と中隔尖に腱索を送っていた。全流入部中隔-肉柱部中隔欠損と診断された。刺激伝導路を避けて2枚のパッチで中隔を形成し、前尖と中隔尖の交連部を形成した。大動脈遮断解除後に肺動脈絞扼部分を切除して主肺動脈を再建し、問題なく体外循環から離脱した。手術翌日に人工呼吸器を離脱し、術後13日目に洞調律となり、経過良好で術後30日目に退院した。