発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184024
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症例は78歳男性で、食思不振、全身倦怠感、発疹および体重減少を主訴とした。汎血球減少、高γグロブリン血症、全身リンパ節腫大および多発肺結節を認め、温式・冷式混合型の自己免疫性溶血性貧血と診断した。多発肺結節に対し確定診断目的に胸腔鏡補助下手術による生検を行ったところ、肺クリプトコッカス症の診断を得た。術直後より刺入部から分離血清様の排液が続き、X線で術側肺野の透過性低下が認められた。血液検査でヘモグロビンと血小板の低下を認め、尿は褐色でウロビリノーゲン陽性となった。ハプトグロビン製剤等で尿量を確保し、赤血球濃厚液、濃厚血小板および新鮮凍結血漿の輸血を行ったところ、排液は術後4日に改善した。周術期の出血傾向を契機に精査した結果、抗血小板自己抗体陽性が判明し、Evans症候群と診断した。肺クリプトコッカス症に対しfosfluconazoleを投与したが反応は不良で、術後3ヵ月に免疫不全の悪化により死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011