発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011288490
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
35歳女性。生後より左横隔膜弛緩症の既往歴があった。今回、妊娠32週時に激しい嘔吐と上部腹痛を起こし、胸水貯留と気胸を認め、急性膿胸および胎児仮死と診断され、帝王切開にて男児出産後、治療目的で入院となった。胸部CTでは左胸腔内に胸水貯留と脱出胃の異常像が認められ、検査所見より横隔膜ヘルニアとその内容物である胃の穿孔が診断された。そこで、第5肋間前側方切開で開胸したところ、胸腔内は膜性に肥厚した胸膜におおわれており、脱出胃は浮腫状で、窄隆部に穿孔が認められた。以後、穿孔部の粘膜や漿膜を一部除去した上で縫合閉鎖し、脱出胃の腹腔内への還納を行い、孔は縫合閉鎖した。その結果、術後は左横隔膜挙上と胸膜肥厚が認められたが、母子ともに術後43日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011