発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016307999
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症例は31歳女性で、親族の不幸を契機に無月経となったが、月経誘発剤内服開始後、月経は規則的に発来し、妊娠成立を確認した。妊娠28週より頻尿(夜間2時間おき)となり、多飲するようになった。妊娠37週に児頭骨盤不均衡のため帝王切開にて出産し、児の発育も良好であった。出産後も口渇、多飲、多尿、頻尿が続いた。出産後も多飲、多尿が続くため産後25日目に入院した。尿比重は低く、尿浸透圧136mOSM/kgと希釈尿を認めた。水制限試験およびバソプレシン負荷試験の結果より中枢性尿崩症と診断した。酢酸デスモプレシン(DDAVP)点鼻よる治療を開始し、排尿回数、尿量が減り、口渇も消失し、飲水量も減少し第15病日に退院した。出産から3ヵ月後に頭部MRI施行し、トルコ鞍部背側に下垂体後葉と考えられる高信号域を確認した。出産から5ヵ月後にはDDAVP点鼻を中止し、その後も症状再燃なく経過良好である。
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