発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009052481
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12歳男児。胸部不快感を主訴とした。生後2日目に心雑音を指摘され、両大血管右室起始症、肺動脈弁下心室中隔欠損症、Taussig-Bing奇形と診断された。生後1ヵ月で肺動脈絞扼術(PAB)を施行したが、PAB部に仮性動脈瘤を認め、生後4ヵ月に瘤切除術とJatene手術(ASO)を施行した。4歳時、大動脈基部拡張(AAE)と中等度の大動脈弁閉鎖不全(AR)を認めた。以後経過観察していたがAAE、ARの増悪を認め、11歳時にカテーテル検査により手術適応と診断した。術前の心臓超音波検査(UCG)では中央からの逆流でないことから自己弁温存は困難と判断し、脆弱な上行大動脈弁も置換するためSJM Regent 21mm+Heamashield 22mmで作成したcomposite graftによるBentall手術を選択した。病理組織像で、吻合部に大動脈壁線維構造の断裂と外膜側で硝子性の間質増生を認めた。線維の断裂や消失、平滑筋の脱落、粘液染色陽性を示す沈着物からなる変性病巣は吻合部の両側に認めた。大動脈弁の形態は保たれていたが、粘液変性を認めた。術後27ヵ月の現在、UCG上は問題なく経過した。
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