動脈スイッチ手術の工夫と遠隔成績
長期遠隔成績 動脈スイッチ手術における遠隔期の問題点と対策
青木 満
1
,
藤原 直
,
中島 弘道
,
青墳 裕之
1千葉県こども病院
キーワード:
バルーン血管形成術
,
再手術
,
術後合併症
,
心室中隔欠損
,
肺動脈弁狭窄症
,
診療録
,
頻拍
,
左心室機能障害
,
生存分析
,
後向き研究
,
大血管スイッチ手術
Keyword:
Arterial Switch Operation
,
Angioplasty, Balloon
,
Heart Septal Defects, Ventricular
,
Medical Records
,
Postoperative Complications
,
Pulmonary Valve Stenosis
,
Retrospective Studies
,
Reoperation
,
Tachycardia
,
Survival Analysis
,
Ventricular Dysfunction, Left
pp.268-273
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008178591
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当院で行った動脈スイッチ手術75例を対象に遠隔期の問題点について検討した。手術時年齢は生後6日~6歳で、平均追跡期間は7.5年であった。その結果、術後の遠隔期死亡を2例に認め、遠隔生存率は16年で97%であった。再手術は2例にのべ3回行った。死亡、再手術、カテーテル治療を含めたKaplan-Meier法によるイベント回避率は、16年で83%と比較的良好であったが、軽度の肺動脈狭窄、軽度の大動脈弁閉鎖不全(AR)はそれぞれ20%、30%程度に認められた。術後の右室流出路狭窄(RVOTS)発生には両大血管右室起始(DORV)の診断と術前の肺動脈絞扼術が、ARの発生には手術時年齢と術前の肺動脈絞扼術が有意に関連していた。肺動脈分岐部狭窄(branch PS)の発生に関連する因子を見出すことはできなかったが、術後造影形態の検討から、異種心膜パッチ使用例ではパッチ周辺の瘢痕形成が、新鮮自己心膜使用例では瘤化による乱流・折れ込み形成が関与していることが考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008