発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146464
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23歳男性。血痰を主訴とした。7年前に左の、5年前に右の自然気胸に対し自動縫合器(ステープラー)を用いた胸腔鏡下肺部分切除術が施行されており、胸部単純CTにて右肺尖のステープルラインの周囲に浸潤影、右中下葉を中心にスリガラス影を認めた。左肺尖のステープルラインの周囲には異常はなかった。入院3日後の気管支鏡像では、右B1から右主気管支にかけて凝血塊が伸びていた。以上の所見より、右肺尖のステープラーが出血に関与していると考えられた。入院後は安静治療と止血薬投与を行った。入院5日後の胸部造影CTで、ステープルライン周囲の浸潤影や右中下葉のスリガラス影は軽快しており、入院6日後の気管支鏡で、右B1の開存は良好で出血の所見はなく、血痰は消失した。各種検査所見より、ステープルライン周囲の炎症、感染、肉芽腫、金属アレルギーの可能性は低く、血痰を発症した原因としてステープラー周囲の微小血管の破綻が疑われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008