発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146460
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84歳女性。下腹部痛、黒色便を主訴に受診した。精査にて回盲部癌の診断で、急性肺塞栓症(APE)の予防策として弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置を装着の下、硬膜外麻酔併用の全身麻酔下に手術(回盲部切除術、D2)を施行した。術後の呼吸、循環動態に問題はなかったが、第2病日、トイレ歩行後に数秒間の意識消失発作を起こし、ショック状態に陥った。心臓超音波検査(UCG)および胸部造影CTを施行したところ、UCGで右房、右室の拡大と右房内に巨大血栓を、CTで左右肺動脈本幹と右房内に血栓像を認め、APE、右房内血栓症と診断した。体外循環下に緊急血栓除去術を施行し、右房内の巨大血栓と左右肺動脈から樹枝状の血栓を摘出した。術後は一時的下大静脈フィルターを留置し、ICUで人工呼吸器管理を行い、抗凝固療法として低用量未分画ヘパリンの持続静注を行った。肺動脈圧は25~30mmHg前後で推移した。術後14日目に人工呼吸器を抜管、術後16日目に一時的下大静脈フィルターを抜去し、リハビリテーションを経て術後40日目に独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008