心・肺移植後の合併症
肺移植 胃食道逆流が原因で呼吸機能改善が停滞した脳死肺移植例
土田 正則
1
,
橋本 毅久
,
篠原 博彦
,
小池 輝元
,
青木 正
,
林 純一
,
奥山 直樹
,
窪田 正幸
1新潟大学医歯学総合病院 第二外科
キーワード:
Azathioprine
,
Prednisolone
,
胃食道逆流
,
呼吸機能検査
,
呼吸不全
,
術後合併症
,
多剤併用療法
,
脳死
,
肺移植
,
腹腔鏡法
,
噴門
,
Tacrolimus
,
肺炎-間質性
,
噴門形成術
Keyword:
Azathioprine
,
Brain Death
,
Cardia
,
Drug Therapy, Combination
,
Gastroesophageal Reflux
,
Laparoscopy
,
Postoperative Complications
,
Prednisolone
,
Respiratory Insufficiency
,
Respiratory Function Tests
,
Tacrolimus
,
Lung Transplantation
,
Lung Diseases, Interstitial
pp.999-1004
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007346105
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18歳男性。通常型間質性肺炎に対し米国で脳死肺移植を受け、3ヵ月経過後も呼吸機能改善が停滞した。胃膨満感や胸やけがあり、呼吸機能検査でFVC 1.11l、FEV1.0 0.81lであった。開胸肺生検を施行したが、組織学的に感染や拒絶反応はなかった。胸部CTで肺野末梢に小粒状影とスリガラス陰影が散在し、末梢気管支壁の肥厚を認め、また呼気相ではモザイク状の含気部分を認めた。肺換気・血流シンチグラムでは微小誤嚥による慢性炎症の可能性が示唆された。腹部単純X線では胃内食物残渣の貯留所見を、造影後には造影剤の排泄遅延を認めた。24時間胃・食道pHモニターでは、胃内容物の影響で正確な評価は困難であった。胃食道逆流、胃機能低下に伴う微小誤嚥が呼吸機能低下の原因と診断し、まず幽門形成術を施行し、術後24時間胃・食道pHモニターで食道内pH4以下の時間率が13.6と逆流を認めた。それから約3ヵ月後(肺移植から約9ヵ月後)に噴門形成術を施行し、逆流改善とともに呼吸機能の改善傾向がみられた。胃・食道pHモニターは逆流状態の程度、術後の改善判定に有用であった。
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