肺移植における周術期・遠隔期の課題 慢性期移植肺機能不全と悪性腫瘍
肺移植後遠隔期発症のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に併発した致死的呼吸不全
北原 哲彦
1
,
佐藤 征二郎
,
小池 輝元
,
土田 正則
1新潟大学 呼吸循環外科
キーワード:
アスペルギルス症
,
呼吸不全
,
術後合併症
,
肺移植
,
リンパ腫-びまん性大細胞型B細胞性
,
剖検
Keyword:
Aspergillosis
,
Respiratory Insufficiency
,
Postoperative Complications
,
Lymphoma, Large B-Cell, Diffuse
,
Lung Transplantation
pp.941-945
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017028492
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25歳男。幼少期より間質性肺炎にて加療されるも呼吸不全が進行し、16歳時に海外で脳死両側肺移植を受けていた。その後、閉塞性細気管支炎とrestrictive allograft syndromeの混在した慢性期移植肺機能不全の状態となり、免疫抑制剤の投与にて経過観察されていた。今回、腹痛、嘔吐が出現し、小腸内視鏡で空腸に潰瘍性病変を認めた。生検の結果、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断され、化学療法待機中に呼吸不全の進行を認めた。胸部CTでは右肺門部を中心とした浸潤影を認め、臨床経過よりリンパ腫の肺病変と判断し、化学療法を行う方針とした。化学療法直前に呼吸不全が進行したため、人工呼吸器管理下に抗真菌薬を併用して化学療法を開始した。1コース目終了時に右肺門部浸潤影はほぼ消失したが、その後、真菌感染症と呼吸不全を来たし43日目(両側肺移植後9年8ヵ月目)に死亡した。
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