発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006128221
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71歳男.アルコール性肝障害と高血圧症及び左顔面神経麻痺に対する加療中に胸痛と嗄声が出現し,胸部CTにて胸部大動脈瘤を指摘された.前胸部痛が次第に増強し,背部痛の出現を認めたことから胸部大動脈瘤切迫破裂として紹介受診し,緊急手術を施行した.術直後は状態は安定していたが,術後7日に突然の意識レベル低下を来たし,JCSは30点となった.術後5日目の咽頭培養にて黄色ブドウ球菌やKlebsiella oxytocaなどが検出され,術後9日に心嚢ドレーンと血液培養からListeria monocytogenesが検出されたことから抗生物質が投与された.急激な脳浮腫による意識レベルの低下と全身状態の悪化の原因が把握できず,炎症反応の増加を抑制できずに死亡した.剖検にて病理組織学的に脳組織と心外膜組織に膿瘍の形成を認め,Gram陽性菌を認めたことからListeria monocytogenesによる脳髄膜炎,心外膜炎にて死亡したと考えられた.大動脈は動脈硬化性病変のみで感染性動脈瘤の所見はなかった
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